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あおいとりプロジェクト

サルバトール・ムンディの謎

★毎週月曜日は阿佐ヶ谷のウラナイトナカイにおります。
次回は12月7日(月)
11:00~21:00 みかみまき 通常鑑定
※次回、12月25日10:00~13:00 水晶リーディング練習会
、モニターになってくださる人募集中です!!

☆『水晶からあなたへのメッセージ郵送します。』
モニターを終了し、本格的に始動しております。対面鑑定に来られない方などもどうぞ。
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先月の11月16日にレオナルド・ダ・ビンチの作品だとされた「サルバトール・ムンディ」がニューヨークのクリスティーズで508億円で落札されましたよね。びっくりです。
200px-Leonardo_da_Vinci,_Salvator_Mundi,_c.1500,_oil_on_walnut,_45.4_×_65.6_cm
こういう絵ですね。

わたしこの絵2011年に話題になるまで知らなかったのですが、いつの間にかレオナルドダビンチの絵として通っていてびっくりしました。水晶占いをする占い師としては妄想が膨らむこの絵。ちと、いろいろ調べてみました。日本語でまともな記事はほとんどなかったので、あちこちよさそうな記事を英文で読んでいます。

まず歴史を追ってみました。(このタイムラインのサイトを参考にしています)

・1500年ごろ ルイ12世(在位1498年ー1515年)のために描かれたと推定。

・1625年 フランスのロイヤルファミリーのヘンリエッタがイギリスのチャールズ1世に嫁ぐときに持参したと推定。チャールズ1世(在位1600年-1648年)の手に渡りロイヤルファミリーのコレクションとなる。

・1651年 チャールズ一世の膨大な借金のかたとなり30ポンドくらいの返済となる。その後もロイヤルファミリーのコレクションであり続けている。

・1763年に行方不明(150年くらい?)。

・19世紀終わりに  フレドリック・クックさん(バージニア州、イギリスの植民地だったところ)のコレクションに加わっていた。

・1958年 6月25日突然ダ・ヴィンチ工房で働いていたボルトラッフィオさんの絵として「サルバトール・ムンディ」が世界最古のオークション会社「サザビーズ」(ロンドン)のオークションに出品される。複製品として45ポンドでクンツ(Kuntz)と名乗る人物が落札。

・2005年 アメリカの不動産売却の品の中に絵があり、ニューヨークのアートディーラーのアレクサンダー・パリッシュが1万ドルで購入。その後、修復した際にダ・ヴィンチの真筆と判明。

・2011年 ロンドンのナショナルギャラリーで展示(-2012年まで)

・2013年 「サザビーズ」(ロンドン)でスイスの美術商に90億円で落札ロシア人富豪ドミトリー・リボロレフさんが140億円で買い取る。しかしこの値段は詐欺とのちに訴えている。(ドミトリー・リボロレフの最近だと話題になったのは離婚裁判かな総資産85億ドル!!)(※その後各国を巡業していましたね、この絵。わたしは残念ながら見損ねましたー。)

・2017年11月16日 リボロレフさんがクリスティーズに売りに出し、508億円($450,312,500)で落札。購入者は非公開。

落札の様子をクリスティーズは動画で公開していますね。クリスティーズNYには5000万ドルの手数料が入ったそうです。PR大成功ですね、すごいな。

誰が買ったかの記事はたくさんあって、いまだわかっていないというのが今ざっと見てみた限りでした。アメリカの富豪とアジアの初ダ・ヴィンチを狙っていた中国人の富豪の一騎打ちだったとかなんとか、笑。アメリカの記事だったのでアメリカ人が買ったことになっていました、笑。誰でもいいですが本物を見てみたいところです。そしてすごいのは絵としては過去最高の落札額だったこと。

きちんとした画像がクリスティーズのサイトには載っていますので見てみてください⇒

これ真贋さえいまだ錯綜しています。これはダ・ヴィンチじゃない!!と叫んでいる人もたくさんいます。弟子の絵だと主張する人も多い気もします。心の底から一度見てみたいと思います。今や、持ち主がわからないですから、一般の人が見れるようになるのはいつのことやら。2011年~2017年の間の巡業中に拝みたかったです、ううう。

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この『Salvator Mundi』Salvatorは救世主という意味でMundiは世界ですね。これ、ラテン系のタロットカードだと、世界のカードはMundiと書いてあります。この神秘的な絵は本当に奥深くて、なぞが多い。一番最初に目を引くのは手に持っている「透明な玉」でしょう。

そしてこれを「あ、水晶玉!」と素直に思ってしまうのは日本人がそれだけ水晶玉=不思議な道具というイメージがあるからでしょう。英語のサイトを見ているとtranslucent orbとか crystlline objectとか使われていて、なぜこの丸いものを持っているのか?というのがたぶん日本人の最初の疑問になるかもですが、西洋の人たちからすると議題としてはこれは水晶玉なのか?そのように書いているのか?という感じでとらえられていました。ちなみにこの〇は世界を表しているというのがまあだいたいの人の結論です。(ほかにもこういうの持っている絵があります、ティッツァーノとか、彼もルネッサンス時期の人ですね。)

まず、忘れてはいけないのはレオナル・ド・ダヴィンチは科学者といってもいいくらいの研究熱心な方で、その発明品はとても有名です。そして、水晶に対しての知識は本当に深いものだったと結論付けている専門家がたくさんいました。

IMG_5570

この玉よく見てみると右端のところに気泡があり、これが人工物であるガラス玉を表現しているのではないか?ということを言っている方もいました。わたしは最初「玉」の奥に見えている手のひらのラインが2重に見えたので水晶特有のダブリングを表現しているのではないかと思ったのですけど、ちゃんとした画像を見たらそんなものはなかったです。本物を見ないとそういう細かいところはわからないところ。このダブルヴィジョンのことは他の研究者も気づいていて(そりゃそうだ)を「玉」通して見えている衣類のラインが歪んてないか?ということを検証していましたが結論付けは避けていました。ダ・ヴィンチに関して断言するのはよしておこう見たいなノリでしたね。

Dr.Martin Kempの記事ではこんな検証も。すいませんURLを失念してしまいました。
IMG_5567
この方はオックスフォードのレオナルドダヴィンチ研究家です。


ちょうど、ナショナルギャラリーで絵が公開されている時に出版している著作なので、これにはもっと詳しいことが載っているかもしれません。

わたしが気になるのはガラス玉こんな透明なガラス作れていたのこの時期に??ということと、水晶玉もこんな大きなものが可能だったか、それと水晶玉はどんな文化背景的な印象を持っていたのかが気になります。

ガラスの歴史が載っているサイトによると、13世紀に”イスラムガラスの技法を受け継ぎムラーノ島にてベネチアンガラスが発展”と書かれています。技法が秘伝とされていた時代ですね。でも良質な無色透明のガラスが開発されたのは17世紀ボヘミアにてとも書いてあります。透明なガラスは作れていたけど水晶のような透き通り方はしていなかった、ということだろうなと想像します。

これはたしかヴィクトリアアルバート博物館か大英博物館か、どちらかで見た水晶の彫刻の水差し(Ewer)。
IMG_0895

カイロ?と書いてありますが1000-50と書いてありますね。10世紀くらい?
IMG_0896

これだけのものを作っていたら、丸玉はお手の物だと思います。そして、水晶の丸玉の技法は中国にあったので(こんな真円に作れるかは知りませんが)シルクロードを通じて伝わってもおかしくないと思います。そして、余談ですがKemp博士はレオナルドダ・ヴィンチはその卓越した知識を見込まれて、ツボの見立てを貴婦人から頼まれていたという記事があると書いてありました。そしてダ・ヴィンチは水晶のような素材にとても興味を持っていたとも。

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そして、こっからはわたしの自由な妄想ですけど、水晶玉をどうして持っているかということについて。

わたしは基本的に、絵は自由に書けるものだから技術があってもなくても「あんなこといいなできたらいいな」発想で可能にしてしまえるということを忘れてはいけないとまず思っています。いろんな研究者も述べていますが、ダ・ヴィンチは、科学からの視点を大切にしていた人でもあります。この時代の最先端で考えうる常識的科学ということがまず大前提ですが。

ルネッサンス期というのはメディチ家にプラトン全集が持ち込まれフィッチーノがそれらをギリシャ語からラテン語に訳しプラトン全集が大はやりして時期で、レオナル・ド・ダヴィンチも類にもれないはずです(プラトンの考え方は、キリスト教が生まれる過程の流れの源流みたいな言い方たされてキリスト教に反しないとされていましたね、このころ。ひとつの源から流れ出る知性みたいな??詳しくはネオプラトニズムをググってくださいませ)。

そうなるとキリスト教的世界観がちがちというよりは、テイマイオスにみられるような世界観に影響されていたのではないかと思います。ウィキペディアによると、キケロがテイマイオスだけはラテン語訳にしていたと書いてありますね。

テイマイオスには4大元素(エレメント)の話(あ、プトレマイオスのほうがプラトンよりずっと後に生まれています)なども入っていたと思うのですよね。

男性のモナ・リザといわれているような気品を持っている、この世界の救世主というタイトルの絵の男の人が持っているのは救おうとしている世界。そして、キリストの生まれた時代は占星術は立派な高尚な知識として世間に認められていたもの。そして、聖書にも東方の3博士は占星術師だと書いてあります。水晶かわかりませんけど、水晶だと仮定すると、なんとなくすっきりします。(もしガラス玉だとしたら何のためにガラスなのか?という更なる疑問を呼び起こしますね。)

水晶は、古代ギリシャではクリスタロス=水の結晶といわれていました。水が固まりすぎて溶けない石。そして水晶玉を持たせている意図として精神世界を水の世界とすると、その球を持っているキリストは精神の世界を救う神の子という意味なんじゃないかなーと勝手に思いました。水のエレメント。魚座が宗教世界を表していますし、なにより、イエス自身が布教を人間を取る漁師に例えています。

キリスト教は占星術を否定しない価値観の中で生まれた宗教なのに、後世でそのキリスト教に迫害されてしまう占星術なんですけれども。運命論あたりがなんか、教義と合わなくて19世紀当たりに現代占星術を復活させたアランレオですら、”tend to(~する傾向)”という言葉で運命論を使わない占星術、性格に起因するみたいな表現を使っていますよね(これも結局はアリストテレスのハビトゥスと近い気もします。)

だから、西洋の人たちは、これがまあ100歩譲ってネオプラトニズムの中のエレメント概念とすることはできても、占星術に関連付けさせるというのはしないでしょうね。


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みかみ まき

西洋占星術師&アクセサリーデザイナー、水晶占い師占星術・タロットをまついなつき氏に師事、占星術と水晶透視を松村潔氏に師事しております。詳しいプロフィール

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